生活の近くにある「RFID」技術とは?その基本と活用事例をご紹介!

あまり普段の生活で耳にすることはない「RFID」技術ですが、実は日々の生活の中で何度も接しています。
物流や製造をはじめ、小売やヘルスケアなど、多くの業界で幅広く使用されているのです。
本記事ではそんなRFIDの基礎知識について解説していきます!

 

1. RFIDとは?

RFIDは「Radio Frequency Identification」の略で、無線周波数を利用して物体を識別・追跡する技術のことを指します。
この技術は、特定のアイテムに取り付けられたRFIDタグが送信する信号を、RFIDリーダーが読み取ることで、アイテムの位置や状態を把握することが可能になります。
この読み取り方式は、バーコードのように直接的な視覚的接触を必要とせず、物体が直接的に見えない場所にあっても情報を得ることが可能です。そのため、作業の効率化を図る上で、非常に有用な技術とされています。

バーコードとの違い

バーコードとRFIDとの主な違いは、情報を読み取る方法にあります。バーコードは直接的な視覚的接触が必要であり、かつ、バーコードが損傷していると読み取りにくくなることがあります。一方、RFIDは無線での情報のやり取りを行い、視覚的な接触が不要であり、タグが見えない場所にあっても読み取ることが可能です。これにより、バーコードよりも多くの情報を高速に読み取ることが可能になり、効率的な運用が可能となります。

RFIDの事例

身近な例として挙げられるのが、アマゾンの新型スーパーマーケット「Amazon Go」や、全世界の図書館の蔵書管理です。
Amazonでは、自社のスーパーマーケットでRFID技術を利用しています。
顧客は商品を選んだらそのまま店を出るだけで、RFIDタグが自動的に読み取られ、アカウントに請求がなされます。これにより、レジ待ちの時間をなくし、ショッピング体験を大幅に向上させています。
また、全世界の図書館では蔵書管理にRFIDを採用し始めています。
各書籍にRFIDタグを付けることで、貸出・返却・在庫確認の作業が大幅に簡素化され、労力を削減しています。
これにより、図書館スタッフは管理業務にかかる時間を削減し、より重要なサービス向上に注力することが可能になりました。

 

2. 主に3つに分けられる種類と特性

RFID技術は、通信範囲やエネルギー供給方法などにより、主に3つの種類に分けられます。それぞれアクティブRFID、パッシブRFID、そしてセミパッシブRFIDと呼ばれています。

アクティブRFID

アクティブRFIDは、自身で動力を持つタイプのRFIDです。
内蔵バッテリーを有しており、これにより自発的に信号を発信することができます。
そのため、リーダーとの通信距離は非常に広範で、数百メートルにも及びます。この長距離通信が可能な特性から、物流・輸送業界や、大規模施設のアセット管理などで活用されています。

パッシブRFID

パッシブRFIDは、リーダーからの電磁波をエネルギーとして動作するタイプのRFIDです。
自己発信能力はなく、RFIDリーダーからの信号を受け取ることで初めて情報を返信します。
その通信距離は限られますが、バッテリーが不要なためコストを抑えられるという利点があります。これらの特性から、小売業や図書館などでのアイテム追跡、在庫管理によく用いられています。

セミパッシブRFID

セミパッシブRFIDは、アクティブRFIDとパッシブRFIDの中間に位置するタイプです。
内蔵バッテリーによりチップを動作させ、リーダーからの信号で通信を行います。
そのため、パッシブRFIDよりも通信距離は広がりますが、アクティブRFIDほどの範囲はありません。このバランスの取れた特性は、環境モニタリングや高価値商品の追跡などに適しています。

 

3. コストが最大の問題?そのメリットとデメリット

RFID技術はその便利さから多くの産業で利用されていますが、そのメリットとデメリットは明確に理解しておくことが重要です。

盗難防止にも役立つメリット

RFID技術の利点は多岐にわたります。
その一つとして、手作業によるエラーを減らすことが可能です。これにより、作業効率と精度の両方を向上させることができます。
また、RFIDは物体が見えない場所にあってもその情報を追跡し、把握することが可能です。
これは、盗難防止に対する大きな助けとなります。さらに、リアルタイムでのデータ取得も可能となるため、素早く情報を更新し、意思決定を行うことができます。

投資コストのデメリット

一方でいくつかのデメリットも存在します。
初期投資コストが高くなる可能性があることが挙げられます。RFIDタグやリーダーの導入、システム設定などにはそれなりの費用が必要となります。
また、特定の環境下では、金属や液体によりRFID信号が妨げられる可能性があります。
これにより、読み取りエラーが発生することもあります。
さらに、個々のアイテムが追跡可能であるという特性は、プライバシーの侵害につながる可能性もあります。これらの点を考慮しながら、RFID技術の導入を検討することが重要となります。

 

4. RFIDの将来と技術進化

RFIDの将来性と技術の進化は密接に結びついており、その発展はIoTの進歩とともに明るい未来を予測させています。

IoTの発展と将来

RFID技術の将来は非常に明るいとされています。
IoT(Internet of Things)の発展とともに、RFIDの利用範囲はますます拡大しています。特に、スマートシティ、スマートホーム、医療、物流など、多くの分野での活用が期待されています。
例えば、医療業界では、RFIDを利用して患者の身元確認や薬の管理を行うことで、医療ミスの防止に役立てる事例があります。

RFIDの技術進化

RFID技術は日々進化を続けています。
高周波、超高周波、マイクロウェーブなど、様々な周波数帯域で動作するRFIDが開発され、それぞれが異なる用途に適しています。
また、RFIDの小型化、低コスト化、高機能化も進んでおり、これらの進化はより幅広いアプリケーションでの利用を可能にしています。
例えば、小型化が進んだRFIDタグは、商品の個々のパッケージに取り付けて利用することが可能になり、物流や在庫管理の精度を大幅に向上させることが期待されています。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?
あまり聞きなれない「RFID」でしたが、私たちの生活と密接に関わっていることが感じられたと思います。今回ご紹介した業界以外でも、技術が進化し続けることで、さらに多くの産業で利用が広まると考えられます。
しかし、同時に課題があることも分かりました。プライバシーの問題やコスト面の課題もあるため、それらをどう克服するかが今後の課題となります。今後のRFID技術の進化が期待されています。