「ゼロトラスト」とは?リモートワークが増える現代で注目されるセキュリティ戦略

現代の情報社会において、セキュリティは何より重要な課題となっています。
その中でも、「ゼロトラスト」は注目を浴びている新しいセキュリティ戦略の一つです。
本記事では、そんな「ゼロトラスト」がとはそもそも何なのか?どのように働くのか?を解説していきます!

 

1. ゼロトラストとは?

「ゼロトラスト」は、基本的にはすべてのネットワークアクセスを最初から信頼しないという原則に基づくセキュリティ戦略です。
従来の「信頼と検証」のモデルは、内部ネットワークは基本的に信頼されるという前提に立っていました。それに対してゼロトラストモデルは、内部ネットワークに対しても検証を求めるという新しいアプローチを提供します。

ゼロトラストの発祥と背景

「ゼロトラスト」の概念は2009年にForrester Researchのアナリストであるジョン・キンダーバグ氏により提唱されました。
キンダーバグ氏は当時、企業の内部ネットワークも外部からの脅威と同じように、セキュリティリスクの存在する領域と捉えるべきであると主張しました。これは、過去のセキュリティ事故やデータ漏洩の多くが内部から発生していた事実に基づいています。

「すべてを疑い、検証せよ」という基本原則

ゼロトラストモデルの基本原則は、「すべてを疑い、検証せよ」です。すなわち、企業の内部ネットワークであろうと外部ネットワークであろうと、すべてのアクセスは信頼せず、各アクセスを確認し、検証するという原則に立っています。
これにより、従来のセキュリティモデルが見落としやすかった内部からの脅威に対しても、きちんと対応することができます。

 

2. ゼロトラストのメリットと課題

ゼロトラストモデルは、その独特な原則に基づき多くのメリットを提供します。しかし、一見これまでのセキュリティーよりも強固で優れているように見えますが、その導入にあたってはいくつかの課題も存在します。

セキュリティ対策の強化

ゼロトラストの最大の利点は、セキュリティ対策の強化にあります。
具体的な事例としては、GoogleのBeyondCorpが挙げられます。
このプロジェクトでは、VPNを必要とせずにリモートアクセスが可能となり、それによってセキュリティブリーチのリスクが大幅に低減されました。また、アクセス制御の精度が向上することにより、情報漏洩のリスクも軽減されるという利点があります。

導入の難易度の高さ

しかし、ゼロトラストモデルの導入には課題もあります。その一つが、その実装の難易度です。
例えば、既存のシステムやネットワーク環境にゼロトラストを組み込むには、大規模な変更とそれに伴う大量の時間を必要とします。さらに、全てのアクセスを検証するための技術やリソースも求められます。これらの課題は、ゼロトラストモデルを導入する際には十分に考慮する必要があります。

 

3. 導入を考える際の重要なポイント

ゼロトラストモデルの導入を検討する際には、具体的なニーズと利用可能なリソースの理解が不可欠です。それにより、最大限の効果を得られるような戦略的な導入が可能となります。

リモートワークとゼロトラスト

まず、自社のニーズを理解することが重要です。
例えば、リモートワークが多い企業は、ゼロトラストモデルの導入により、安全なリモートアクセスを実現できる可能性があります。
また、社内ネットワークのセキュリティを強化したい企業にとっても、ゼロトラストモデルは有効な選択肢となります。

コストと管理負荷

一方で、導入コストや管理負荷も考慮に入れる必要があります。
ゼロトラストモデルは全てのネットワークアクセスを検証するため、それには一定の負荷が伴います。
また、既存のシステムやネットワークとの互換性も問題となる場合があります。そのため、導入を考える際には、システムの改善やネットワークのセキュリティ強化に対する投資意欲と、それに伴うリソースの必要性を十分に理解した上で進めることが重要です。

 

4. 他のセキュリティ戦略との比較

ゼロトラストの理解を深めるためには、他のセキュリティ戦略との比較も必要です。それにより、各戦略の特性や適用状況が明確になるだけでなく、どのような環境や課題に対してゼロトラストが最適な解答となるのか、その判断基準も見えてきます。

「パーミッター・デフォルト」戦略との比較

「パーミッター・デフォルト」(許可がデフォルト)戦略は、信頼できる内部ネットワークに対する便益を最大化し、外部からの侵入を防ぐことに重点を置いた伝統的なセキュリティ戦略です。
これは信頼された内部ネットワークに対する便益を最大化し、効率的な内部運用を可能にする点にあります。
しかし、このアプローチでは、内部からの脅威を見過ごす可能性があり、セキュリティブリーチの原因となり得ます。

「ディフェンス・イン・デプス」戦略との比較

「ディフェンス・イン・デプス」戦略は、複数の防御層を設けることで、一つの層が破られても他の層が防御に成功するという原理に基づいています。
この戦略のメリットは、セキュリティ対策が一部分に依存せず、複数の層での保護があることで攻撃者の侵入を難しくする点にあります。
しかしこの戦略もまた、内部からの脅威に対する対応が弱いという欠点があります。また、各層で適切なセキュリティ対策を講じるためには、複雑な管理と大量のリソースが必要となります。
これらの例からも分かる通り従来の戦略は「内部の脅威」に弱いという共通点があります。

ゼロトラストの優位性

これまでにも述べている通り、ゼロトラストはその「内部からの脅威」に対しても有効だという点です。
ネットワーク内部外部を問わず、全てのアクセスを検証するため、内部からの脅威に対しても強固な防衛を提供します。
また、ユーザーやデバイスごとに細かくアクセス権を制御することができるため、情報の取り扱いをより厳密に管理することが可能となります。
このような特性により、ゼロトラストはより包括的で堅牢なセキュリティ対策を提供します。そのため、特に内部からの脅威が懸念される状況や、セキュリティ要件が厳しい業種において、有効な選択肢となるでしょう。

 

5. 未来のセキュリティ戦略

ゼロトラストは、近未来のセキュリティ戦略として非常に重要な役割を担うと見られています。
その理由として、デジタル化が進展し、働き方が変化し、ビジネス環境が複雑化する中で、従来のセキュリティモデルでは対応しきれない問題に直面しているからです。

クラウドとリモートワークの普及

今後、企業や組織でのゼロトラストの採用が増える一因として、クラウド化とリモートワークの普及が挙げられます。
これらの現象は、企業のネットワーク境界を曖昧にし、セキュリティ対策を難しくします。
リモートワークが増加することで、従業員が企業のネットワーク外からアクセスする機会が増え、それに伴いセキュリティリスクも高まります。
こうした背景から、全てのアクセスを疑い、個々のリクエストを検証するゼロトラストのアプローチは、ますます重要性を増していくと予想されます。

デジタルトランスフォーメーションの進行

また、DXの進行とともに、新たなビジネスプロセスやサービスを安全に導入・運用するためのセキュリティ対策が求められています。
DXによって、企業は様々なデータを利用する機会が増え、それに伴って情報保護の重要性も増しています。
これらのデータを安全に管理し、ビジネスの価値を最大化するためには、ゼロトラストのような堅牢なセキュリティモデルの導入が不可欠となるでしょう。

 

まとめ

「ゼロトラスト」は、現代のセキュリティ問題に対する効果的な解決策の一つと言えるでしょう。
しかし、その導入は容易ではなく、慎重な計画と資源の投入が必要となります。
今後は、このゼロトラストモデルがどのように進化し、どのように企業や組織のセキュリティ戦略に影響を与えるかを注視することが重要となるでしょう。