「MOOCs」ってなに?教育の現場を革新させる新たなプラットフォームの意義と課題

近年、デジタル化が進む教育分野で、一つの大きなトレンドとして台頭してきたのが「MOOCs(Massive Open Online Courses)」です。
これは、オンライン上で広範囲にわたる学習コンテンツを提供する教育形態で、誰でもどこからでもアクセス可能な教育の新たな形として注目されています。
本記事では、このMOOCsについて、その特徴や効果、そして世界中の事例をご紹介していきます!

 

1. MOOCsとは?

MOOCsは、その名の通り、大規模でオープンなオンラインコースを提供する教育形態を指します。
これは、従来の教育機関が開設するクラスルームをデジタル空間に拡大し、数千人単位での学習者参加が可能となる教育形態です。
ここで「Massive」とは大規模、つまり多数の学習者が参加可能であることを示し、「Open」とは無制限に開放されている、すなわちどんな人でも参加できるという意味を持っています。

主なMOOCsのプラットフォーム

MOOCsのプラットフォームは世界中に存在しますが、その中でも特に有名なものは、アメリカのStanford大学が開設した「Coursera」や、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)が共同で設立した「edX」などが挙げられます。
これらのプラットフォームでは、世界トップクラスの教授陣による講義が、どこからでも自由に受けられるという画期的な環境が提供されています。

 

2. MOOCsの2つの特徴

MOOCsの最大の特徴は、その規模の大きさとアクセシビリティの高さです。
これらのプラットフォームは世界中から自由に参加可能で、特定の時間や場所に縛られずに学習を進められます。
また、いくつかのコースでは一部有料の内容も含まれていますが、基本的には無料で開放されています。

コースの豊富さと参加者の多さ

多様なコースが提供されているというのも、MOOCsの大きな特徴の一つです。
一部のプラットフォームでは数千以上のコースが提供されており、専門性の高いテーマから一般的なテーマまで幅広くカバーしています。
その中には、Stanford大学のAndrew Ng教授による「Machine Learning」コースのように、世界中から数十万人もの学習者が参加している人気コースもあります。

教育の民主化への貢献

MOOCsのプラットフォームは、教育の民主化へ大きく貢献しています。
それは、誰もがどこからでも一流の教育を受けられる機会を提供しているからです。
地理的な制約、時間的な制約、経済的な制約から解放された学習環境は、教育の機会均等を大いに進展させています。

 

3. 無視できない2つの問題点

MOOCsの普及と成長には無数の利点がありますが、その一方で、いくつかの課題も抱えています。
大規模な参加者数に対する個々の学習者へのフィードバックの難しさや、学習者のモチベーション維持の困難さがその主な問題点として挙げられます。

個々人の「理解度把握」の困難さ

MOOCsでは、参加者の規模が大きいため、個々の学習者への適切なフィードバックを提供することが難しくなっています。
これは教育者の視点からみると、一人ひとりの学習進度や理解度に合わせたサポートを提供することが困難であるという課題を示しています。

学習者のモチベーションの維持

また、学習者自身の視点からは、自己管理とモチベーション維持が大きな課題となります。
MOOCsの完了率の低さは広く知られた問題です。
自主性が求められる学習形式がモチベーション管理を困難にしているのです。例えば、Harvard UniversityとMITが共同で行った研究では、2012年から2014年までの2年間で開講されたMOOCsの完了率は平均5.5%であったと報告されています。
このような事例は、自主性と自己管理が求められるMOOCsの特性上、学習を途中でやめてしまう学習者が多いという問題を示しています。

 

4. MOOCsの活用とその影響

MOOCsの普及により、我々は世界中からの豊富な学習リソースにアクセスできるようになりました。その活用方法とその影響は、個々の学習者から教育機関、さらには企業にまで及んでいます。

「自己学習」の習慣を身につけるコース

MOOCsを最大限に活用するためには、自己学習の習慣を身につけることが重要です。
学習者自身が主体的に学習を進めていくため、目標設定、計画立て、そして自己評価のスキルが求められます。
例えば、「Learning How to Learn」というコースは、このような自己学習のスキルを養うことを目的としています。
また、MOOCsの多くは、学習者同士で情報を共有し、ディスカッションを行うコミュニティを設けています。積極的に参加することで、学習体験をより深化させることができるのです。

企業の人材育成プログラム

MOOCsの登場は、教育分野に大きな影響を及ぼしています。
既存の教育機関だけでなく、企業もMOOCsを活用した人材育成やスキルアップのプログラムを導入しています。
例えば、Googleは「Google Career Certificates」というプログラムを通じて、MOOCsを利用した職業訓練を提供しています。
一部の企業では、MOOCsで取得した証明書を正式な資格として認める動きも見られます。このように、MOOCsは教育の形を大きく変えつつあるのです。

 

まとめ

MOOCsは、教育の領域に革新をもたらす大きな可能性を持つ新たな教育形態です。
その規模、アクセシビリティの高さ、教育の民主化という利点を持つ一方で、学習者への個々の対応やモチベーション維持などの課題も抱えています。
しかし、これからの進化と普及によって、これらの問題も解決され、さらに多くの人々が一流の教育を享受できる社会が実現することでしょう。
MOOCsはまさに、未来の教育を担う重要なキーワードです。